「乾燥シーズンになると顔や身体が乾燥して痒い」「頭皮の乾燥から頭にフケが…」
そんな経験で悩まされたことがあるのではないでしょうか?
乾燥肌には4つの種類と対策がありますが、肌に欠かせない成分やスキンケアに大きな違いはありません。
今回は、自宅で簡単に出来る乾燥肌のセルフケアと、乾燥肌の方がぜひ摂取しておきたい成分についてご紹介しています。
乾燥シーズンに関係なく、いつもぷるぷるとした『うるおい肌』で過ごしたい方にとって、非常に参考になりますので、ぜひご覧ください。
このページの目次
1.乾燥肌の4つの種類
乾燥肌には大きく分けてアトピー性皮膚炎、脂性乾燥肌、老人性乾燥肌、一般的な乾燥肌の4つのタイプに分けることが出来ます。そのなかで一般的に皆さんがいわれている乾燥肌とは、肌表面の水分が不足し日頃からカサつきやすい肌のことを言います。
その直接的な原因は、加齢、睡眠不足、ストレスにより、皮脂分泌量の低下や、洗顔等で肌に備わっている保湿機能(天然保湿因子)や角質細胞間脂質などの減少が挙げられます。これらの理由で一定の水分量を保てなくなり、肌の水分が30%以下になってしまった結果、肌が乾燥し、潤いがなくなってしまいます。
■乾燥肌チェック
対策方法を見る前にまずは、自分がどの乾燥肌のタイプに当てはまるのかを知ることが大切です。タイプにより、対策も変わってくるため、事前に見ておきましょう。

2.乾燥肌のタイプ別原因と対策
乾燥肌のタイプは、
●一般的な乾燥肌
●アトピー性皮膚炎
●脂性肌
●老人性
この4つに分かれます。
以下にて、それぞれの原因と対策をご紹介致します。
2-1.一般的な乾燥肌

一般的な乾燥肌の原因
乾燥肌とは、肌がカサカサしたり、洗顔後のつっぱりや、白い粉がふいたりするのが一般的な症状です。専門的な用語では「ドライスキン」と言われる方もいますが、意味は同じで、肌のバリア機能が低下して、皮膚の角質の水分量が不足している状態の肌です。
その直接的な原因は、スキンケアだけでなく、睡眠不足やストレスなどの生活習慣や、食生活により、肌の皮脂分泌量の低下や、肌が本来持っている保湿機能の天然保湿因子(NMF)の低下、セラミドなどの角質細胞間脂質などの減少が挙げられます。
これらの理由で一定の水分量を保てなくなり、健康な肌に比べて、水分が約30%以下になってしまった状態が、一般的に『乾燥肌』といいます。
一般的な乾燥肌の対策
冬場は夏場に比べは汗をかく機会が減り、皮脂を分泌するサイクル低下するため、乾燥肌になりやすい季節です。そのうえ、暖房による部屋の乾燥は、洗濯ものが乾きやすいのと同じように身体の水分を奪い肌を乾燥させてしまうので、上手に使うことが大切です。
冬場では、以下のことを意識する事で、肌の乾燥感を抑えることに繋がります。
● エアコン、ストーブ、電気こたつ、電気毛布、ホットカーペットの使用は最低限にとどめる。
● 急激に温めないようにし、温度は控えめに設定する。
● 加湿器や濡れタオルを室内に干して、部屋の湿度を適度に保つ。
2-2.アトピー性皮膚炎疾患による乾燥肌

アトピー性皮膚炎疾患による乾燥肌の原因
アトピー性皮膚炎による乾燥肌の原因は、もともとの『体質』としてもっている原因と、『アレルゲン』や『肌の外部からの刺激』による『外部要因』の原因があります。
アトピー性皮膚炎はまだ解明されていない部分も多い疾患ですが、『アレルゲン』などのアレルギー反応による要因が関連しているケースが多いようです。アトピーになるとその症状として『皮膚の乾燥』が見られます。
アトピー性皮膚炎の特徴的な症状として、皮膚の炎症や、強い痒みがでるため、皮膚を掻いて傷つけてしまうことで、更に肌がダメージを受けて、皮膚の保湿能力を下げて乾燥してしまうという悪循環に陥るケースが見られます。
アトピー性皮膚炎疾患による乾燥肌の対策
基本的に、アトピー性皮膚炎はセルフケアで治療することはできない為、皮膚科や専門医師による治療を行わなければなりません。
医学的にもまだ、未解明の部分が多く、関係する要因には個人差が大きく、残念ながら「これをしておけば、アトピーにならない」という明確な対策がないのも事実です。
ただし、アトピー性皮膚炎の治療と向き合い、医師の指示を受けながら、自分の症状を悪化させる成分や食べ物、環境を理解していくことで、徐々に症状を軽減していくことは可能です。
それらを理解した上で、適切なスキンケア(清潔と保湿)を続けていくことで、は肌のバリア機能の低下を防ぐことは可能です。
アトピー性皮膚炎は、通院による治療後、皮膚の調子がよくなったとしても、症状が繰り返すことも特徴です。症状の悪い面を把握しながら、常に予防を意識した生活習慣を続けることが大切と言えます。
2-3.脂性乾燥肌

脂性乾燥肌の原因
脂性乾燥肌は『混合肌』の一種で、乾燥している部分と脂っぽいオイリー肌(脂性肌)の部分が混在している肌状態のことも指します。
Tゾーンは脂っぽいがUゾーンは常に乾燥しているなど、顔の中に、脂性肌と乾燥肌が混在しているために、ケアするのが難しく、基本的に乾燥している部分と、ベタつく部分に分けてケアをする必要があります。
肌の悩みは、乾燥肌の人が増加傾向にあるのですが、実は乾燥肌と同じくらいに増加しているのが脂性乾燥肌です。
原因として、生活する環境や、ストレスによりホルモンバランスの乱れからくる、身体の代謝や循環機能の異常です。そうなると、肌の水分量や油分量のバランスを崩れ、肌にベタつく部分とかさつく部分が混在するようになってしまうのです。
脂性乾燥肌の対策
脂性乾燥肌は、正しいスキンケアや睡眠やストレスなどの生活環境を見直すだけで、改善が見込める対策しやすい肌質です。とはいえ、逆に、間違ったスキンケアをしていたり、お菓子や脂っこい食事に偏ったり、生活習慣や食生活に気を遣わないと、症状が悪化しやすい肌質でもあります。
脂性肌は何度も洗顔しがちですが、実はそれは逆効果です。洗顔で皮脂を落としすぎないことが大切で、洗顔後の保湿もしっかり行いましょう。
脂性肌は保湿は軽視しがちですが、脂性肌も乾燥肌と同じく、スキンケアの基本です。正しいスキンケアを心掛けて、生活習慣を見直していくことが、脂性乾燥肌を改善し、きれいな肌への近道となります。
2-4.老人性乾燥肌

老人性乾燥肌の原因
老人性乾燥肌の原因は『加齢』です。年齢を重ねると、皮膚の発汗や皮脂の分泌機能が低下し、シミやシワができやすやくなり肌も年齢とともに衰えてきます。また、肌水分を保つ役割をしている角質細胞間脂質も減少していくことから、皮膚は乾燥しやすく、外部ダメージを受けやすくなり、『乾燥肌』になりやすい状態となります。
老人性乾燥肌のなかにも、「老人性皮膚掻痒症」と「老人性乾皮症」の2種類に分類されます。
「老人性皮膚掻痒症」とは、加齢による皮膚の老化が原因でターンオーバーなどの皮膚機能が低下することで発症する皮膚疾患です。症状は分泌される皮脂が減少し、肌にハリがなくなり、汗もかきにくくなるという特徴があります。冬などの乾燥する季節やエアコンなどの空気乾燥の生活環境になると、肌がカサカサしてかゆみが強くる特徴もあります。
「老人性乾皮症」は、加齢により肌の水分保持能力が低下し、肌の水分不足が原因による皮膚疾患です。特に空気の乾燥する秋から冬にかけてその症状が現われることが多く、自覚症状として痒みを伴うことが特徴です。冬場の暖房などによる空気の乾燥や、洗顔やボディの洗いすぎで、更に肌の天然保湿成分(天然保湿因子)が失われ、更に悪化してしまいますので注意が必要です。
老人性乾燥肌の対策
「老人性乾燥肌」の予防に効果的なのは、長時間お湯のお風呂に入らないことがベストです。肌に備わっているセラミドや、細胞間脂質など保湿成分は、42℃以上のお湯になると一緒に流れやすくなります。特に、男性は熱いお湯のお風呂を好む傾向にありますが、熱いお湯は肌の水分を奪いやすいので、なるべくは体温より少し暖かい程度の湯温で、ぬるいくらいが良いでしょう。
また、体を洗うときは、ナイロンタオル等は使用せずに、ボディソープよりも余計な成分が入っていない固形せっけんを使用して、しっかりと泡立てて、綿のタオルでやさしく肌を洗いましょう。入浴後は保湿の為、顔はもちろん、全身をボディローションやボディークリームでケアするようにしましょう。
3.乾燥肌の予防をする為に摂取すべき栄養素や成分
乾燥肌の予防の為、摂っておきたい栄養素や成分は5つに分類されます。
これらは、全身の潤いを保つ上で欠かせない栄養素・成分とも言えます。それぞれの作用についてご紹介しますので、乾燥肌の予防対策としてお役立て下さい。
乾燥肌予防に欠かせない栄養素・成分5種の作用
栄養素・成分 | 作用 |
---|---|
セラミド![]() |
脂質の1種でもあるセラミドは、肌の潤いに欠かせない成分で、皮膚内にある角質細胞ごとのすき間を水分で繋ぎ止める役割があります。
セラミドは皮膚の表面側に存在している事から、食品からの摂取よりも肌に直接塗る方が効果的に補充されます。 多くの化粧品がありますが、できる限り添加物フリーの製品を選ぶようにしましょう。 |
ビタミン類![]() |
●ビタミンA
ビタミンAは「レチノール」か「βカロテン」から摂取する事ができ、皮膚、粘膜の健全維持に作用する事から、乾燥肌予防にも役立ちます。 ●ビタミンB群 皮膚の健康、ターンオーバーを正常化させる栄養素で、ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸、ビオチン、ナイアシン、パントテン酸の8種がビタミンB群となります。食品や化粧品から効率よく補っておきたいビタミンと言えます。 ●ビタミンC 皮膚と粘膜の健康維持、肌のツヤとハリに欠かせない成分です。日常で摂取されやすいビタミンですが、喫煙により欠乏しやすい為、食事やサプリ、化粧品で総合的に補うと良いでしょう。化粧品は「ビタミンC誘導体」となっている方が、より高い効果を発揮します。 ●ビタミンE 強い抗酸化作用によって、細胞や皮膚の老化防止に効果を発揮します。血行促進の働きもある為、新陳代謝の活発化によって肌の乾燥感の改善、ハリ・ツヤを持たせます。肌からの浸透作用も高い為、ビタミンEが配合された化粧品を活用するのも良いでしょう。 |
たんぱく質![]() |
皮膚はたんぱく質で構成されているので、不足すると代謝がうまくいかず、乾燥やニキビ、そばかすといった肌トラブルを招きやすくなります。食事と化粧品の両面から補いたい栄養素でもあります。
化粧品では、コラーゲンやプラセンタにたんぱく質が含まれていて、乾燥肌の保湿に効果が期待できます。より高い保湿力を目指す場合は、低分子化されている化粧品がおすすめです。 食品では牛肉、牛乳(乳製品)、卵が代表的で、魚介類や大豆にも多く含まれます。 |
脂質![]() |
体温維持の一定化、乾燥感のない滑らかな肌を作る力があります。食事においては、ビタミンAやEといった脂溶性ビタミンと合わさる事で、体内に効率良く吸収されます。 |
発汗作用のある成分![]() |
汗をかくと、ターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)が促進され、老廃物の排出もスムーズになります。結果、弱酸性である肌が維持されやすくなり、乾燥感のない健康的な肌が目指せます。
運動なら軽いジョギング、食事では、しょうが、ニンニク、唐辛子、カレー粉、キムチ、わさび等に発汗作用があります。 |
4.日頃のスキンケアはヒト型セラミド配合の化粧品を使うと良い
乾燥肌は、「肌のバリア機能の低下」が起きていて、セラミドが不足している状態です。そこで効果的にセラミドを補えるのは、ヒト型セラミドの化粧品となります。
セラミドの化粧品は、天然由来と合成由来に大きく分かれ、補うべきセラミドの種類によっても効果的なものが違ってきます。
4-1.天然由来のセラミド化粧品
天然由来では、馬などの脳や脊髄から抽出した『動物性』のセラミド、米ぬかや小麦などから抽出された『植物性』のセラミドがあります。
天然由来のセラミド化粧品の場合、成分表示は以下のように記載されています。
動物性 | 「ウマスフィンゴ脂質」「ビオセラミド」「セレブロシド」 |
---|---|
植物性 | 「植物性セラミド」「コメ由来スフィンゴ脂質」「コメヌカスフィンゴ糖物質」 |
保湿が重要とされる「乾燥肌」や「アトピー性皮膚炎」の方には向いていますが、人肌に近いセラミドを補うという点では、次にご紹介する合成由来のセラミド化粧品に劣ります。
4-2.合成由来のセラミド化粧品
合成由来は、『疑似セラミド』と『ヒト型セラミド』に分かれます。
石油を原料としたセラミドと似た保湿作用のある『疑似』よりも、『ヒト型』の方が人肌のセラミドと近いため、安全性が高く、効果面でも有利です。
疑似とヒト型では、以下のように成分表示は違ってきます。
疑似セラミド | ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド等 |
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ヒト型セラミド | セラミド1、2、3、5、6Ⅱ |
ヒト型では「セラミド+英語」もしくは「セラミド+数字」での表記方法となっていますが、ほとんどは数字記載となります。
4-3.肌には11種類のセラミドと役割がある
肌の中にあるセラミドは、以下の表のように11種類に分けられていて、セラミド7まではその役割が解明されています。この中でも、セラミド1、2、3、6は、乾燥肌の解消に効果的な働きをします。
セラミドの種類 | 肌での役割 |
---|---|
セラミド1(EOP) | 水分保持と肌バリア機能(外部からの刺激や異物から肌を守る) |
セラミド2(NS) | 水分保持に優れている |
セラミド3(NP) | 水分保持と、シワを浅くする |
セラミド4・5(EOH・AS) | 角質層のバリア機能の維持や構築 |
セラミド6または6Ⅱ(AP) | 水分保持、ターンオーバー促進、シワの軽減機能 |
セラミド7(AH) | 細胞の増殖分化をコントロールして皮膚内の菌のバランスを整える |
セラミド8~10 | 未解明 |
セラミド配合化粧品では、1種類だけでなく、複数のセラミドが同時摂取できることも多いので、パッケージからどの種類が含まれているか、あらかじめ確認を行うと良いでしょう。
いかがでしたか?
乾燥肌には、ご紹介したように4つの原因がありますが、日頃の努力で肌の状態が大きく違ってきます。
また、どんな原因からくる乾燥肌でも、セラミドが不足している状況に変わりはなく、その中で効果的に補えるのが『ヒト型セラミド』という事もご理解頂けたかと思います。
日頃のスキンケアから、セラミドを始めとした乾燥肌対策と予防をしっかり行えば、早期に良くなることは十分に可能です。
今年こそは、乾燥肌知らずで潤いのある1年を過ごしましょう!